GuRim -赤い服の殺人者-

(♂2:♀2:不問:0)

---------------------------------------------------------
・ジェイク:♂
飄々としていて常にお気楽思考な特殊課の刑事。
女性となるとつい甘くなってしまうのがたまにきずな所がある・・・

・ロイド:♂
ジェイクと正反対の性格をしていて仕事熱心な真面目な特殊課の刑事。
最大で5日間睡眠を取らなくても仕事ができる体の持ち主。

・チェルシー:♀
レイクシティのとあるアパートに姉妹で住まう姉。
普段から大人しい性格をしていて「駄目なお姉ちゃん」が口癖

・レイラ:♀
レイクシティのとあるアパートに姉妹で住まう妹。
姉の為に色々しようとするのだが・・・本当は。。。

・ライム(ジェイクorロイド役の方が兼役)
----------------------------------------------------------


ジェイクM:君たちは『赤ずきん』と聞いて何を思い浮かべる?
赤いずきんを被った可憐で可愛らしい少女?そう、それであってる。
いや・・・あってた、が正しいか。
それではもし、その赤ずきんちゃんが猟奇的な殺人者だったら?
おっと、そんな怖い顔しないでくれ、
でももし・・・・今言った事が本当だとしたら・・・君たちはどうする?

-レイクシティ/路地裏-

路地裏を千鳥足で歩く男性

ライム:「(酔っている感じで伸びをする)今日のチャリティは成功だったなぁ、
明日から忙しくなるぞぉ!ははは、これで俺もセレブの仲間入りだな(笑う)」

コツコツとヒールの音が後ろの方から聞こえる

チェルシー:「ライム議員さん」

ライム:「お?なんだ?君はさっきのパーティーにいた子かな?」

チェルシー:「この度は当選、おめでとうございます」

ライム:「これはこれは、律儀にどうも、ありがとう」

ありがとうのポーズを格好つけながらお辞儀をする

ライム:「今の俺はすっごい気分がいいんだ。
そんな時に声をかけてきたって事は、『デートのお誘い』そういう事でいいのかな?」

舌なめずりをする

チェルシー:「さぁ、どうでしょう?」

一定の距離を取りつつ後ろへ下がっていく

ライム:「おいおい、何処へ行くんだい?あっ!もしかして焦らしてるのかぁ?」

チェルシー:「鬼さんこちら♪」

ライム:「その誘い、乗っちゃうぞぉ~」

千鳥足で後を追い路地裏へと続く角を曲がると、そこに人影はなかった

ライム:「おやぁ?どこへいったんだぁ~い?」

チェルシー:「ライム議員、こっちですよぉ」

路地裏に声だけがこだまする

ライム:「隠れてないで出てきなよぉ~」

一歩一歩、奥へと進んでいく

ライム:「俺と良い事したいんだろぉ~?」

チェルシー:「知らない相手の誘いに簡単に乗っちゃ、だ・め・よ♪」

後ろから近づいてくる音に顔向けると脇腹に鈍痛が走るの感じる

ライム:「ぐっ・・・ぁ・・・な・・に・・・?」

チェルシー:「アタシと良いこと、しましょ♪」

歪んだ笑いに咄嗟に身を引くが、刺された痛みで上手く動けない

ライム:「え・・・、ナイ・・・フ?俺・・・刺され――」

一度脇腹からナイフを引き抜いた後、別箇所を何度も刺す

ライム:「ぐふっ・・・(吐血)」

チェルシー:「逃げないで、狼さん」

ライム:「おお・・・かみ・・・?」

チェルシー:「そう、男は皆狼・・・、だから、殺すっ!」

ライム:「まっ・・・待ってくれ・・・、何を言っている!俺は狼なんかじゃ――」

急所を刺されて絶命する

チェルシー:「うふふ・・・あははははは」

路地裏に小気味のいいヒールの音と狂気に満ちた笑い声だけがこだましていく

-レイクシティ/警察署-

机に足をかけ、椅子に座って暇を持て余している男性の姿

ジェイク:「ふぁ~ぁ(欠伸)、ねむ・・・。
仕事しなきゃいけねぇけど、やるのめんどくせぇ」

そこへ扉を開けて入ってくるもう一人の男性

ロイド:「ジェイク、まぁたさぼってんのか?仕事しろ仕事」

ジェイク:「してますよぉ」

ロイド:「それのどこが仕事してるんだよ」

ジェイク:「暇を持て余すという仕事!」

ロイド:「それは仕事をしてるとは言わないんだ」

ジェイク:「はぁ~・・・(ため息)ロイドくんはお硬いねぇ」

ロイド:「くんをつけるな、気持ち悪い」

ジェイク:「いいじゃぁ~ん、ロイドくぅ~ん」

ロイド:「初対面ならまだしもって、
その呼び方は気持ち悪いからやめてほしいところだが」

ジェイク:「えぇ?俺ら出会ったばかりじゃないのさ~」

ロイド:「ジェイク・・・僕らは何年バディやってると思ってるんだ?」

ジェイク:「3年?」

ロイド:「7年目に突入だ」

ジェイク:「そんなに経った!?」

ロイド:「・・・わざとやってるだろ?」

ジェイク:「あら、ばれちった」

ロイド:「人をおちょくって遊んでいるのを上に報告してもいいんだぞ?」

ジェイク:「それだけは勘弁!俺の楽しみを奪わないでくれ」

ロイド:「おちょくって遊んでるっていうのは否定しないんだな・・・」

ジェイク:「だってロイドの反応が楽しいんだもん♪」

ロイド:「(ため息)」

ジェイク:「っでぇ?今回はどんな事件を持ち込んできたんだ?ロイド」

ロイド:「なんでわかった、事件だって」

ジェイク:「お前の顔、眉間にシワが寄ってる時は大抵事件、それも殺人だ」

ロイド:「長年バディやってると癖一つで分かるようになる・・・っか」

ジェイク:「何年お前とバディやってると思うんだ?」

ロイド:「それ、さっき僕が言ったんだが」

ジェイク:「あっ・・・あぁ~・・・気にしない☆」

ロイド:「お気楽な奴め・・・」

ジェイク:「っで、本題に入ってくれない?」

デスクに資料を広げ始めるロイド

ロイド:「『ライム・クラーク』って名前に聞き覚えは?」

ジェイク:「ライム・・・?」

ロイド:「ジェイク・・・少しはテレビぐらい見ろ」

そなえつけのテレビにリモコンを使ってつけるとそこには
刺殺された議員になる予定だった男の出来事がニュースで流れていた

ジェイク:「あぁ!上院議員の!」

ロイド:「に、なるはずだった人だ」

ジェイク:「可哀想にな、生きていれば明日からセレブの仲間入りだっただろうに」

ロイド:「思ってもないことを口にするのはよくない癖だぞ」

ジェイク:「おっと」

ロイド:「その人物が、何者かによって殺害された」

ジェイク:「殺害?だったら俺らじゃなくて別部署に回せばいいんじゃねぇのか?」

ロイド:「普段ならそうだ、でも現場には赤い布切れが残されていた・・・
今回で4件目らしい」

ジェイク:「赤い布切れ?」

ロイド:「この布切れを見てどう思う?」

資料の一枚をジェイクに渡す

ジェイク:「ただのそこら辺でも売ってる赤地の布だろ?」

ロイド:「あぁ・・・だが、その近くには・・・・」

2枚目の資料をとんとんと叩く

ジェイク:「『狼を殺すは私の役目』・・・?」

ロイド:「赤い布と狼・・・連想するのは?」

ジェイク:「赤ずきん・・・?」

ロイド:「さすがジェイク、鋭いな」

ジェイク:「いや、でもよ、赤ずきんっていったら、
最後狼は猟師に殺されてめでたしめでたしだろ?」

ロイド:「確かに童話だとそういう終わり方だな」

ジェイク:「だったらやっぱり俺らじゃなく――」

ロイド:「(話を無視して)だが不可解な事件として扱われた事で、
僕たち『特殊課』に回ってきた」

ジェイク:「まじかよ・・・」

ロイド:「現場へ行ってみるかい?」

ジェイク:「行かなきゃ何も分かんねぇだろ」

ロイド:「まぁね」

ジェイク:「(ため息)・・・しょうがねぇ、支度して行くぞ」

スーツを着直し、お互いに準備を始める

-レイクシティ/とあるアパートの一室-

鍵をあけて部屋に入る

レイラ:「ただいまぁ~」

いつもは返事が返ってくるのに今日は返事が返ってこない事に違和感を感じる

レイラ:「お姉ちゃん?」

電気をつけて部屋の奥へ

レイラ:「お姉ちゃん、いないの?」

部屋の奥でうずくまっている姉の姿

チェルシー:「レイラ・・・」

レイラ:「お姉ちゃん!?大丈夫・・・?どうしたの!?誰かに何かされた?」

荷物を無造作に置き、うずくまる姉の元へかけつけるが

チェルシー:「何も・・・覚えてないの・・・」

レイラ:「覚えてない・・・?どういうこと?」

チェルシー:「アタシは殺ってない・・・」

レイラ:「お姉ちゃん、落ち着いて話して。何があったの?」

チェルシー:「違うの・・・、アタシじゃない・・・アタシじゃ・・・」

机の上のナイフを震えながら指を指す

レイラ:「ひっ・・・!?」

チェルシー:「アタシに何が起こってるの・・・?」

レイラ:「お姉ちゃん・・・」

チェルシー:「どうして・・・アタシは何も覚えてないの!?」

レイラ:「落ち着いて、とりあえず深呼吸」

気持ちを落ち着かせようとする妹

レイラ:「お姉ちゃん・・・明日、病院で検査してもらいに行こ?ね?」

チェルシー:「嫌っ!アタシはどこも悪くない!!」

妹が掴んでいる手をひっぱたく

レイラ:「痛っ・・・!」

チェルシー:「はっ・・・!ごめんなさい、レイラ・・・アナタにまで・・・」

レイラ:「大丈夫、私は大丈夫だから」

姉の背中を優しくさする

チェルシー:「なんで・・・、どうしてこうなっちゃうの・・・。
アタシはただ、普通に生活したいだけなのに・・・」

レイラ:「大丈夫だよ、お姉ちゃんには私がついてるから」

その言葉にチェルシーの意識がぼーっとしだす

チェルシー:「(呆けながら)アタシには・・・レイラがいる・・・」

レイラ:「そう、だからお姉ちゃんは何も悪くない」

背中をとんとんと叩くと我に戻り泣き出す姉

チェルシー:「うっ・・・うぅ・・・レイラ(泣く)」

妹を抱きしめながらすすり泣く

レイラ:「大丈夫、私はいつだってお姉ちゃんの味方だから」

優しく背中をさする妹の口は微かに歪んでいた

-レイクシティ/路地裏-

ジェイク:「奴(やっこ)さんはここで、何度も刺されて息絶えた・・・と」

ロイド:「どれだけ恨まれてたんだろうな?」

ジェイク:「さぁな」

ロイド:「それにしても、酷(むご)いな・・・」

ジェイク:「あん?」

ロイド:「血が周囲に飛び散ってるのを、お前が気づかなかった訳じゃないだろ?」

ジェイク:「あぁ・・・自分の力を誇示するかのようにあちこち飛び散ってたな・・・」

ロイド:「楽しみながら殺したって感じだな・・・この有様は」

ジェイク:「とはいえ、この犯行は男じゃないな」

ロイド:「ん?なんで分かる?」

ジェイク:「ロイドくぅ~ん、ちゃんと資料を確認したのかねぇ?」

ロイド:「お前よりは確認したと思ったんだが・・・?」

ジェイク:「だったら分かるだろぉ?」

ロイド:「さっぱりなんだが・・・」

ジェイク:「(でっかいため息)」

ロイド:「もったいぶらずに教えろよ」

ジェイク:「こんな狭い場所に誘い込めるのは、女しかいねぇって事だよ」

ロイド:「どういうことだ?」

ジェイク:「奴さんがここを通るのはあらかじめ分かっていたんだろうな。
そこに、派手めでちょっと露出度の高いドレスを着て現れる。
すると、普通の男ならどうなると思う?」

ロイド:「意識が正常ならそんな誘いには乗らんだろうな」

ジェイク:「鑑識の結果によれば、相当飲んでたらしいじゃねぇか」

ロイド:「正常ではないとするなら・・・」

ジェイク:「男なら誰だって、なぁ」

ロイド:「それだけじゃ相手が女だって事には――」

ジェイク:「(被せて)ロイド・・・相手が野郎なら、
こんな誰も寄り付かねぇ場所になんてこねぇだろ」

ロイド:「まぁ、そうだろうな・・・」

ジェイク:「だろぉ?」

ロイド:「相手が女性であるならば、気が緩んで・・・」

ジェイク:「そんでノコノコ着いていって、ブスッと」

ロイド:「酔っていると正常ではいられない・・・っか」

ジェイク:「そゆこと。あぁ、でよ、さっき小耳に挟んだんだけど、
この近くでチャリティパーティーやってたんだってよ」

ロイド:「チャリティ?」

ジェイク:「ここで犯行、そして近くにはチャリティ・・・となりゃ?」

ロイド:「参加者名簿がある・・・!」

ジェイク:「さすがロイド。そのチャリティから名簿を借りられるか聞いてみるか」

ロイド:「そうしよう」

現場を後にし、チャリティ会場へ向かう二人

-レイクシティ/とある一室のアパート-

席についてお茶を飲んでいる

レイラ:「落ち着いた?」

チェルシー:「うん、ありがとう」

レイラ:「それで、何があったの・・・?」

チェルシー:「アタシにも分からない・・・。
気づいたら、派手な服着てて、手にはあの・・・ナイフを・・・」

レイラ:「血塗(ちまみ)れのね・・・」

チェルシー:「アタシは何もしてない!してないの!!」

レイラ:「それは分かったから、落ち着いて、ね?」

チェルシー:「どうして、何も覚えていないの・・・」

レイラ:「やっぱり病院に――」

チェルシー:「(遮る様に)それだけは嫌!アタシはどこも悪くないもの!」

レイラ:「でも・・・『あれ』がここにあるって事は・・・」

チェルシー:「自首・・・してくるわ・・・」

レイラ:「それだけはやめて!」

チェルシー:「え・・・?」

レイラ:「お姉ちゃんがいなくなったら・・・私はこの先どうすればいいの・・・?」

チェルシー:「でも・・・アタシがやったのかもしれない・・・」

レイラ:「少しテレビつけてみようか、何か分かるかもしれないから」

チェルシー:「そうね・・・」

テレビをつけると同じ様なニュースばかりが目に映る 


レイラ:「どこも同じニュースばっかりね・・・」

チェルシー:「議員になる予定だった人・・・何箇所も刺されてって、
・・・もしかして」

レイラ:「悪い方に考えちゃ駄目、お姉ちゃんは何もしてない。そう思おう?」

チェルシー:「・・・うっ・・・うん」

レイラ:「お姉ちゃんは、大丈夫だから」

その言葉にまた意識が遠のいていく

チェルシー:「(呆けながら)アタシは・・・・大丈夫・・・・」

レイラ:「そう、大丈夫。後は私がなんとかしとくから。はい、いつものお薬」

薬の入った紙袋を手渡すと意識が戻る

チェルシー:「ありがとう。駄目なお姉ちゃんでごめんね」

レイラ:「なーに言ってるの、私のお姉ちゃんは世界一のお姉ちゃんだよ」

チェルシー:「レイラ・・・、おいで」

お互いにハグを交わす

レイラ:「ほら、夜も遅いからお姉ちゃんはもう寝なさい」

チェルシー:「(微笑んで)そうします。おやすみ、レイラ」

寝室に歩いていき、ベッドに入るとそのまま眠りに落ちていく

レイラ:「・・・・・・(微かに笑う)」

笑った顔は先程よりもさらに歪(いびつ)に歪(ゆが)んでいた

-レイクシティ/翌日の署内-

ジェイク:「ふあぁ~(欠伸)、くっそ・・・完徹(かんてつ)かよ・・・」

ロイド:「しょうがないだろ、上からの命令なんだから・・・」

ジェイク:「ロイド・・・お前、よくできるな・・・」

ロイド:「最大で5日起きてた事あったからね、何かに集中してれば起きていられるよ」

ジェイク:「・・・馬鹿なの?」

ロイド:「それは僕も思ってる、何やってんだろって。ジェイクは寝てていいよ」

ジェイク:「そうはいかねぇだろ、ロイドのバディは誰だ?」

ロイド:「ジェイクだ」

ジェイク:「そうだ。じゃぁ一緒にやらなきゃだろ」

ロイド:「ありがたい事だけど、お前がいると余計に仕事が増える」

ジェイク:「あ?なんだって?」

ロイド:「だから、コーヒーでも淹れてきてもらえないかな」

ジェイク:「言わせておけば・・・俺はお前のメイドか!」

ロイド:「やだなぁ・・・こんなガタイのいいメイドなんて・・・」

ジェイク:「誰がお前のメイドなんかになるかっ!!
っていうか人がボケたのにツッコむ所がそこかっ!!」

ロイド:「他にどこがある」

ジェイク:「はぁ~・・・(ため息)こいつは・・・」

いがみ合いを止めるかのように扉が開かれる

レイラ:「あのぉ~・・・すいません。
特殊課っていうのは、ここでいいんでしょうか?」

ジェイク:「おん?ロイド、誰か来たぞ」

ロイド:「僕は今手が離せないからジェイクが対応して」

ジェイク:「ったく・・・、はいはぁ~い、特殊課はここです」

レイラ:「良かった」

ジェイク:「どうかしたんですか?」

レイラ:「あの・・・その・・・、大きな声では言えないのですが・・・」

ジェイク:「へ・・・?」

レイラ:「『これ』なんですけど・・・」

鞄の中から取り出した血まみれのナイフに目を見開くジェイク

ジェイク:「これは・・・!!」

レイラ:「大きな声、出さないでください・・・」

ジェイク:「あぁ・・・すまない、これを・・・どこで・・・?」

レイラ:「私の姉が持っていて・・・」

ジェイク:「お姉さんが・・・?」

レイラ:「本人は覚えていないって言うんですが、
テレビをつけたら同じニュースばっかりで、凶器はナイフだって・・・それで・・・」

ナイフと言う単語を聞いて作業の手を止めるロイド

ロイド:「その話、僕にも聞かせてもらえないかな?」

ジェイク:「作業の方は?」

ロイド:「犯行に使われたかも知れない『ブツ』がそこにあるんだ、
ソッチのほうが先だろ」

ジェイク:「まぁな」

ロイド:「立ち話もなんだから、汚い部屋だけど椅子にかけて話してもらえるかい?」

ジェイク:「おい、一言余計だぞ」

レイラ:「あっ・・・ありがとうございます」

近くにある椅子に腰を掛け話始める
机を挟んで二人も腰をかける

ロイド:「形式的な事を聴きますが、アナタはどなたです?」

レイラ:「私はレイラ、レイラ・ノーレッジといいます」

ジェイク:「レイラさんね、可愛らしいお名前だ」

ロイド:「おいジェイク、口説こうとするんじゃない」

ジェイク:「ただ名前を褒めただけだろ?」

レイラ:「・・・・・(少し照れる)」

ロイド:「それで、何故お姉さんがこの凶器を持ってる事がわかったのですか?」

レイラ:「それは・・・私が、買い物から戻ったら・・・机の上に・・・」

ロイド:「その事、お姉さんは?」

レイラ:「えぇ・・・知ってます。ですが私がここに来たことは知りません」

ジェイク:「お姉さんの名前、教えてもらえる?」

レイラ:「チェルシー・・・チェルシー・ノーレッジです」

ジェイク:「ロイド、チャリティの名簿にその名前あったか?」

ロイド:「探してみる。ちょっと失礼」

席を立って名簿を確認しにいく

ジェイク:「ごめんね。あいつ仕事熱心なんだ」

レイラ:「いっ・・・いえ」

ジェイク:「この凶器なんだが、一度DNA鑑定に回してもいいかい?」

レイラ:「えっ・・・えぇ・・・」

ジェイク:「怖がらなくていいよ。付着した血痕が誰のものか調べる為だから」

レイラ:「・・・・・・・・」

ジェイク:「ははっ(苦笑い)、複雑な心境だよね。
自分の姉がもしかしたら殺人犯かもしれないんだからさ・・・」

レイラ:「ごめんなさい・・・」

ジェイク:「謝らなくていいんだよ」

確認し終わったロイドが名簿を持って戻ってくる

ロイド:「チェルシー・ノーレッジ・・・スペルはこれであってますか?」

そこに書いてあったのは

レイラ:「・・・・・・はい、あってます」

ロイド:「確定だな・・・」

レイラ:「待ってください!」

ジェイク:「!?」(※できるだけ同時に)

ロイド:「!?」(※できるだけ同時に)

レイラ:「お姉ちゃんは・・・何も知らないんです!違う人かもしれません・・・」

ロイド:「ですが、スペルもあってて名簿に載ってる所を見ると・・・」

レイラ:「あんな優しいお姉ちゃんが殺人だなんて、
・・・するはず・・・ない・・・(涙ぐむ)」

ロイド:「認めたくない気持ちは分かります」

ジェイク:「じゃぁそうだなぁ・・・、
このナイフに着いている血痕のDNA結果が出るまで保留って事に――」

ロイド:「(被せるように)何言ってる、ジェイク!?」

勢いよく椅子から立ち上がる

ジェイク:「だってよぉ・・・可哀想だろ・・・」

ロイド:「そういう問題じゃないだろ!殺人なんだぞ!」

ジェイク:「確かに殺人だ、でも殺ったかどうかも分からないんだぞ?」

ロイド:「何を言ってる・・・凶器がここにあるんだぞ!」

ジェイク:「だから鑑定してみるんじゃないか」

ロイド:「ちょっとこい、ジェイク」

ジェイク:「ごめんね、少し離れるね」

レイラ:「はい・・・」

二人はレイラから離れると小声で話し始める

ロイド:「どういうつもりだ?」

ジェイク:「鑑定結果が出るまでだよ、まぁ多分100%なんだろうが・・・」

ロイド:「だったら、今捕まえて被害を最小限に抑えるのが僕たちの役目だろ」

ジェイク:「でも、それで違っていたら・・・?誤認逮捕って事になるんだぞ」

ロイド:「それは・・・まぁ・・・」

ジェイク:「だから、お前は鑑定の方を、
俺はあの子の護衛として見張る事にするからよ」

ロイド:「お前は・・・女性と見たらすぐ・・・」

ジェイク:「お硬いこと言うなよ。黒か白かはっきりさせられるだろ?」

ロイド:「・・・・・分かった」

ジェイク:「お前のそういうとこ好きだぜ」

ロイド:「お前に言われても嬉しくもなんともない」

ジェイク:「じゃっ、決まりだな」

ロイド:「へまはするなよ?」

ジェイク:「あぁ、任せろ」

レイラの元へ二人が戻ってくる

ロイド:「DNAの鑑定結果が出るまで、
チェルシー氏の逮捕は保留とさせていただきます」

レイラ:「ほんとですか・・・!?」

勢いで席を立つ

ロイド:「ただし、護衛という形としてジェイクをアナタにつけさせていただきます」

ジェイク:「よろしくね」

レイラへとウィンクをする

レイラ:「・・・はい」

ジェイク:「じゃっ、早速だけど、お姉さんに会わせてもらえるかな?」



-レイクシティ/とある一室のアパート-

レイラ:「ここが、私達の部屋になります」

ジェイク:「案内してくれてありがとう。俺は外で待ってるよ」

レイラ:「・・・はい」

玄関をあけて中へ入る

レイラ:「お姉ちゃんただいまぁ~」

チェルシー:「おかえり、レイラ」

レイラ:「起きてたんだ」

チェルシー:「えぇ、今日は教会へ行く日でしょ?」

レイラ:「そっ・・・そうだったね」

チェルシー:「ん?どうかしたの?」

レイラ:「ううん、なんでもないよ」

チェルシー:「(微笑む)変なレイラ」

荷物を取りに部屋へ向かう姉

レイラ:「あっ!そうだ、お姉ちゃん」

チェルシー:「ん~?」

レイラ:「今日、一緒に連れていきたい人がいるんだけど、駄目かな?」

チェルシー:「ん~、アタシはいいけど」

レイラ:「ほっ・・・ほら、以前から会わせたい人がいるっていってたじゃない」

チェルシー:「あぁ~!前から話してた例の彼氏さんね」

レイラ:「そう!」

チェルシー:「でも、教会にいくだけなのに迷惑にならないかしら」

レイラ:「そっ・・・そんな事ないと思うよ、うん」

チェルシー:「そう?」

支度を済ませ妹の元へ戻ってくる

レイラ:「今日も綺麗ね、お姉ちゃん」

チェルシー:「もう、アタシの妹は褒め上手なんだから・・・。
っでその人はどこにいるの?」

レイラ:「外で待っててくれてる」

チェルシー:「二人の邪魔をしない様に大人しくしとくわね」

レイラ:「気を使わなくていいんだよぉ」

チェルシー:「はいはい。待たせるのも悪いから行きましょうか」

レイラ:「うん」

玄関から出てきた姉の姿にジェイクは口を開けたまま突っ立っていた

チェルシー:「初めまして、レイラの姉のチェルシーと申します」

ジェイク:「(咄嗟に)あっ!初めまして」

チェルシー:「レイラから色々聞いてるわ」

ジェイク:「俺の事を・・・ですか?」

チェルシー:「えぇ、そうよ」

ジェイク:M「なにやら誤解をしていそうだが・・・まぁいいか」

チェルシー:「そんなに緊張しないで、
別にアナタを取って食おうなんて思ってないから(笑う)」

軽く挨拶を済ませると階段を降りていく

ジェイク:「レイラ・・・ちょっといいかい?」

レイラ:「え・・・?」

ジェイク:「君のお姉さんのあの姿って・・・」

レイラ:「姉は協会へ行くときはいつもあの服装ですので」

ジェイク:「そうなんだ。・・・・犯行現場には、一切れの赤い布と・・・」

そこで口をつぐむ

レイラ:「どうしたのです?」

ジェイク:「いや、なんでもない・・・」

レイラ:「そうですか。下でお姉ちゃんが待っています・・・
疑われる前に行きましょう」

ジェイク:「あっ・・・あぁ、そうだな」

レイラとジェイクも階段を降りていく

-路地/教会までの道のり-

チェルシー:「そういえば、お名前はなんと言うんですか?」

ジェイク:「ジェイクです」

チェルシー:「まぁ!素敵なお名前ね」

ジェイク:「ありがとうございます。
それで、先程レイラから聞いたのですが、協会へ行かれるそうですね?」

チェルシー:「えぇ、毎週末には二人で教会へ行くのよ」

ジェイク:「クリスチャンなのですか?」

チェルシー:「そういう訳ではないのですが、アタシ達姉妹は捨て子だったのよ」

ジェイク:「捨て子・・・?」

レイラ:「お姉ちゃん」

チェルシー:「いいじゃないの、アナタの旦那様になるかもしれないのだから。
後で知るより先に知っておいたもらったほうが気が楽でしょ?」

レイラ:「・・・もう」

チェルシー:「(微笑む)」

ジェイク:「まさかその捨てられた先が・・・」

チェルシー:「そう・・・、今向かっている協会なのよ」

ジェイク:「なるほど」

チェルシー:「この子ったらね、
仕事から帰ってくるといつもアナタの事ばっかり言うんですよ」

ジェイク:「俺の事を?ほぉ!どんな話をされるのか興味がありますね」

レイラ:「ちょっと、お姉ちゃん・・・!」

チェルシー:「いいじゃない」

レイラ:「今日のお姉ちゃんはお喋りだなぁ・・・」

ジェイク:「今日の?」

レイラ:「お姉ちゃん、普段からおとなしい人で、
おっとりしてるというかどこか抜けてるというか・・・」

チェルシー:「アタシの話はいいのよ、レイラ」

レイラ:「お返し」

チェルシー:「まぁ!だったら、暴露しちゃうんだから!」

ジェイク:「ほっ・・程々に・・・」

チェルシー:「職場で目が合っただけで、今日一日生きていける!
とか恥ずかし気もなく、目を輝かせながらアタシに報告してくるんですよ(笑う)」

その言葉に赤面して俯く妹

ジェイク:「他には?」

チェルシー:「『私の猟師さんをようやく見つけたの』とか」

ジェイク:「猟師・・・?」

レイラ:「お姉ちゃん!」

チェルシー:「そんなに声を荒らげなくてもいいじゃない」

レイラ:「・・・恥ずかしいから、やめて」

チェルシー:「ごめんなさいね、妹が照れ屋さんで」

ジェイク:「いえ、気にしてないですよ」

チェルシー:「ほら、見えてきた。あそこがいつも通っている教会よ」

目の前に見えるごく普通の教会を指を指す

ジェイク:M「俺は、ノーレッジ姉妹に連れられ教会へと赴いた。
どうやら妹の彼氏として無事溶け込むことができたみたいだ
紹介された姉はごく普通に見えるのだが・・・、
この人が本当に殺人なんてするのだろうか・・・?
教会の時もだがそれ以外の時も、別の日もそのまた別の日も、
姉のチェルシーにはなんの異変も感じられなかった
そんな平和な時が過ぎていく中、DNA鑑定の結果が出たその日の夜に、
事件は起きた・・・・・」

-レイクシティ/署へと続く道-

ジェイクのスマホが震える

ジェイク:「どうしたロイド」

ロイド:「結果が出たぞ」

ジェイク:「どうだった?」

ロイド:「ナイフに着いていた血はライム・クラークのものだった・・・」

ジェイク:「そうか・・・」

ロイド:「それと・・・」

ジェイク:「それと?」

ロイド:「チェルシー・ノーレッジのも検出されたそうだ」

ジェイク:「(ため息)」

ロイド:「ジェイク?」

ジェイク:「あぁ、すまない。やっぱりかと思ってな・・・」

ロイド:「期待を裏切るようで悪いな」

ジェイク:「いや・・・、お前が謝ることじゃねぇよ。ただ・・・」

ロイド:「分かってる、お前から聞いてた話だとごく普通のお姉さん、なんだろ?」

ジェイク:「あぁ・・・、でもなんでだ・・・」

ロイド:「人は見た目によらない、だろ?
あぁ、それとな、そのチェルシー氏なんだが、薬物を使用している痕跡も見つかった」

ジェイク:「薬物を使っている?・・・ん?」

電話を片手に話していると反対側から見知った相手が
ゆっくり、ゆっくりと歩いてくるのを目撃する

ロイド:「どうした、ジェイク?」

ジェイク:「チェルシーさん・・・?」

ロイド:「は?」

どこかぎこちない、不自然な歩きをしながら近づいてくる

ジェイク:「ちょっとすまん。チェルシーさん!」

チェルシーの元へ走ろうとするが、街灯に照らされたその姿は・・・

チェルシー:「(目を虚ろにしながら)ジェイク、さん・・・」

濃い赤の服装を身に纏い、その格好には似つかわしくないナタをカラカラと鳴らしている

チェルシー:「会いたかったわぁ・・・(歪に笑う)」

ジェイクの姿をとらえると、動きをピタっと止める

ジェイク:「チェルシー・・・さん・・・」

チェルシー:「妹をたぶらかすオオカミめ・・・(トーンを下げて呟く)」

地面を引きずっていたナタを両手で持ち、ジェイクめがけて走り、振り下ろす

チェルシー:「オマエにアタシの妹は渡さないっ!!」

振り下ろされたナタを間一髪で避けるジェイク

ジェイク:「っぶねぇ・・・、なんつう力してんだ・・・」

チェルシー:「避(よ)けてんじゃねぇよ・・・」

ジェイク:「アンタほんとに・・・チェルシーさんなのか・・・?」

チェルシー:「そうよぉ、、、、
アナタがよぉ~く知ってる、ア・タ・シっ!(ナタを振り回す)」

言うと同時にナタを横薙ぎに一閃

チェルシー:「あぁん、何で避けるのよぉ・・・」

ジェイク:「まっ・・・まだ、死にたくはないものでね」

チェルシー:「これだからオオカミは・・・!」

ナタを構え直す

ジェイク:「ちょっ・・・ちょっと待って下さい!
チェルシーさん、話し合いましょ?ね?」

チェルシー:「話し合い・・・・きらぁ~い!!」

振り下ろしたナタを避けきれず、着ている服をじんわりと血で染める

ジェイク:「いってぇ・・・こりゃまともに食らったらさよならだな・・・」

電源を切らずにしておいたスマホから声が聞こえる

ロイド:「ジェイク!おい、何があったんだ!?」

ジェイク:「すまんロイド、今取り込み中だ」

ロイド:「取り込み中って、大丈夫なのか?!」

ジェイク:「大丈夫じゃ・・・ないかも・・・」

ロイド:「大丈夫じゃないってどういうことだ!」

ジェイク:「チェルシーさんと鬼ごっこ中・・・」

ロイド:「ってことは、交戦中って事か・・・、僕もそっちへ向かう!
それまでなんとかして生きのびろ!」

一度通話を切る

ジェイク:「生き延びろだなんて、無茶言うぜ・・・ったく」

猟奇的なチェルシーから距離を取るため、走って逃げる

-レイクシティ/署内-

ロイド:「とは言ったものの・・・どうやってジェイクを助ける・・・?
殺人を終えた後のチェルシー氏には、記憶がない・・・
と言うことは、事を成している最中は薬物ハイになっていると言う事だ。
その薬物を中和できれば・・・、ジェイクは今どこに・・・?」

ジェイクの位置を追跡する

ロイド:「ここから5ブロック先か・・・間に合うか・・・?」

-レイクシティ/人気のない通り道-

ジェイク:「(荒い息遣い)・・・ちょっと流しすぎた・・・」

チェルシー:「ジェイクさぁ~ん、どぉ~こぉ~?
あんまり逃げられたらこっちが冷めんだよぉっ!」

近くの壁を思いっきり殴る

チェルシー:「こぉ~こぉ~かぁ~なぁ~?」

覗き込むが誰もいない

チェルシー:「どこいきやがったぁ!」

傷口を押さえながらよろよろと物陰から出てくる

ジェイク:「俺は・・・ここだ・・・、もう逃げも隠れもしねぇ・・・」

チェルシー:「どうして逃げたのぉ?
アタシは・・・(涙ぐむ)、アタシは・・・・(歪んだ笑いに変わる)
アンタ達、オオカミを!殺すのっ!!」

ナタを振りかぶって勢いで斬りかかろうとする

ジェイク:「・・・すまねぇロイド、俺・・・ここまでだわ・・・」

死を覚悟して目を閉じるジェイクの耳元に聞き慣れた声が聞こえてくる

レイラ:「お姉ちゃん!!やめて!!」

その声に動きを止めるチェルシー

チェルシー:「レイラ・・・?」

レイラ:「お姉ちゃん・・・もう、やめて・・・」

チェルシー:「なんで・・・?レイラ、アナタの為でもあるんだよ?」

レイラ:「私の為だからって、そんな事しないで・・・」

チェルシー:「レイラ・・・」

レイラ:「ね?だからそんなもの、捨てて」

チェルシー:「何を言ってるの?元はアナタが――」

レイラ:「(遮る様に)お姉ちゃん!」

別の方向から新たに声が聞こえる

ロイド:「言わせてやったらどうだ、その続きを」

レイラ:「え・・・」

ジェイク:「ロ・・・イド・・・」

ロイド:「どうやら間に合ったようだな」

ジェイク:「なん・・・で、ここが・・・?」

ロイド:「お前のスマホのGPSを辿ったんだよ」

ジェイク:「さすが、俺の・・・バディ」

チェルシー:「オオカミが増えたわ。殺さなきゃ・・・コロサナキャ・・・」

レイラ:「お姉ちゃん・・・駄目・・・!」

ロイド:「そうやってお姉さんを操ってきたのか・・・」

ジェイク:「え・・・?」

レイラ:「何を、言ってるの・・・?」

ロイド:「もう茶番を演じるのはよせよ。
本当の赤ずきんは、君なんだろ?レイラ・ノーレッジ」

ジェイク:「レイラ・・・が?」

レイラ:「・・・・・・・・」

ロイド:「自分の手は汚さず、お姉さんを薬漬(やくづ)けにし、
全ての犯行はお姉さんへとなすりつける。よく考えたものだよ」

後手で銃に中和剤を詰め込んでいく

レイラ:「アナタが何を言ってるのかさっぱりだわ・・・」

ロイド:「あくまでシラを切り通すつもりか・・・だったら・・・これならどうかな?」

銃口をレイラへと向ける

ジェイク:「おっ・・・おい、ロイド血迷ったのか!?」

ロイド:「ジェイクは黙っててくれ」

レイラ:「そんなもの向けられたからって、私は怖くもなんともないんだから」

ロイド:「君を撃つんじゃないさ」

チェルシーへと向けなおし発砲する

レイラ:「お姉ちゃん!」(※できるだけ同時に)

ジェイク:「ロイド!」(※できるだけ同時に)

撃たれたチェルシーはその場で倒れ込む

レイラ:「アナタ・・・なんてことを・・・なんてことを!!」

ロイド:「いいじゃないか、僕のバディを殺そうとしてた女だぞ」

ジェイク:「殺さなくても良かっただろ!?」

ロイド:「ジェイク、君は女となるとすぐ甘くなる・・・
そういうのは良くないっていつも言ってるだろ」

ジェイク:「ロイド・・・お前・・・」

ロイド:「そろそろ効き目が出てくるかな?」

腕時計を見て時間を確認する

ジェイク:「何言ってる・・・」

ロイド:「別に僕は、チェルシー氏を『殺した』なんて一言も言ってないぞ」

意識を取り戻して起き上がろうとするチェルシー

ジェイク:「え・・・?」

レイラ:「お姉ちゃん!?」

姉の元へとかけつけ抱きしめる

チェルシー:「(咳き込む)、レイラ?アタシ、何して・・・」

レイラ:「良かった、生きてた・・・」

チェルシー:「どう・・・したの?」

ジェイク:「どういう事か、説明してくれ・・・・ロイド」

ロイド:「彼女は薬物ハイになってただけだ」

ジェイク:「薬物ハイ・・・?」

ロイド:「そう、だから中和剤を撃ち込んだ。殺してなどいない」

ジェイク:「なんだよ、それ・・・」

ロイド:「言ったろ、薬物を使用している痕跡が見られたって」

ジェイク:「びびらせんなよ・・・心臓に悪い・・・」

気を抜いて倒れかける

ロイド:「ジェイク、まだだ」

ジェイク:「へ・・・?」

ロイド:「チェルシー氏は赤ずきんじゃない。
本物の赤ずきんは、妹のレイラの方なんだからな」

レイラ:「私が赤ずきんですって・・・?証拠がないじゃない」

ロイド:「証拠・・・ねぇ。僕がさっき言った事を覚えてるかい?」

レイラ:「お姉ちゃんを薬漬けにして犯行をなすりつけるってことかしら?」

ロイド:「そう、それ。よく覚えてたね」

レイラ:「馬鹿にしないで!」

チェルシー:「レイラ・・・」

ロイド:「気になってたんだ、3件目までは犯行現場に赤い布と『狼を殺すは私の役目』の置き手紙しかなかったのに、何故4件目だけ周りが血塗れだったのか・・・、
だから僕なりに推察してみたんだ。本当の犯人は別にいるのでは・・・と」

レイラ:「それが私って訳?」

ロイド:「それは分からなかった、だって君は完璧に演じていたんだから。
でもボロが出た」

レイラ:「ボロ・・・?」

ロイド:「署に来た時の事だ。犯行に使われただろう『ブツ』を持ってきていたのに、
犯人かも知れないお姉さんを捕まえるのはやめてほしいと言う。
僕はそこに引っかかって、君の事を個人的に調べさせてもらったよ。
そしたらなんと・・・君、『ヴァーティゴ』を買ってるそうじゃないか」

ジェイク:「ヴァーティゴだって・・・!?」

チェルシー:「ヴァーティゴ・・・?」

ロイド:「君が薬と偽られて飲んでいた薬物の事さ」

チェルシー:「あの薬、そんな名前だったのね・・・」

ジェイク:「あれは薬なんてものじゃない・・!人を狂わせる毒物だぞ!」

チェルシー:「なんとなく、麻薬だって・・・気づいてた」

レイラ:「お姉ちゃん・・・知ってて、飲んでたの?!」

チェルシー:「アタシ・・・駄目なお姉ちゃんだから・・・」

レイラ:「そんな事ないって、言ってるじゃない」

ロイド:「それにもう一つ。君・・・・なんでお姉さんがここにいる事が分かった?」

レイラ:「そっ・・・それは、アナタと同じくスマホのGPSを辿って――」

ジェイク:「(被せる様に)それは出来ないはずだ・・・」

レイラ:「え・・・」

ジェイク:「だって、チェルシーさんは『そういう物』を持っていない・・・」

レイラ:「嘘よ!お姉ちゃんには私から渡したはずだもの!」

チェルシー:「レイラ・・・彼の言っている事は嘘じゃない・・・」

レイラ:「え・・・?」

チェルシー:「お姉ちゃん・・・機械音痴だから、使い方よく分からなくて・・・」

レイラ:「・・・・・(少し考えた後にため息を吐く)」

チェルシー:「レイラ・・・?」

レイラ:「アンタ達には、私達の気持ちなんて分かんないのよ!!!」

ロイド:「何を言って――」

レイラ:「(無視して)女だからってだけで、そういう目でみられて・・・
何も出来ないことを良い事に、レイプまで・・・、
そうよ!だから殺してやったのよ!」

ジェイク:「レイラ・・・」

レイラ:「男なんて皆狼よ・・・」

ロイド:「だからって・・・」

レイラ:「私だけならまだ良かった・・・、
でもアイツラは・・・お姉ちゃんにまで手を出した!」

チェルシー:「・・・・・・」

レイラ:「その時なんだろうね、私の中で何かが弾けたのは・・・」

チェルシーが落としたナタをレイラが拾い上げ、ゆっくりとジェイクの方へと歩き始める

レイラ:「だから私が・・・狼共に、制裁を・・・」

赤いフードを頭からすっぽりと被る

ジェイク:「その姿・・・、まさか本当に君が・・・!?」

レイラ:「ふふ、あはは・・・怖いでしょ?怯えるでしょ?」

チェルシー:「レイラ、駄目!アナタがすることじゃない!」

レイラ:「元は私が始めた事、だったら私が終わらせる・・・」

チェルシー:「レイラ・・・!」

レイラ:「ごめんね、お姉ちゃん。お姉ちゃんに全てをなすりつけようとして」

姉の方を振り返り涙を流しながら笑う
そして、ジェイクとロイドの方へ振り向きナタを構え直す

レイラ:「狼を殺すは私の役目・・・!うあああああああ!!!」

叫びながらジェイクの元へ走りナタを振り下ろす

ロイド:「ジェイク、立て!逃げるんだ!」

ジェイク:「あはは・・・、ちょっと血を流しすぎたっぽい・・・
悪ぃ、逃げらんねぇや・・・」

ロイド:「ジェイク!!くそっ・・・!」

ジェイクの元へ急いでかけつけようと走り出すが
ゆっくりと振り下ろされるナタの前に飛び出してくる黒い影

ジェイク:「っ・・・!え・・・、俺、生きて・・・る?」

レイラ:「どう・・・して・・・」

ジェイクの前に立っていたのは姉のチェルシーだった

チェルシー:「まだ・・・薬が抜けきれてなかった、みたいね
・・・レイラ・・・、もう・・・これ以上は・・・やめ・・・ごふっ(吐血)」

レイラ:「なんで・・・、どうしてお姉ちゃん・・・!」

チェルシー:「ジェイクさんは・・・、
アタシやアナタが思ってる様な・・・人じゃない・・・から・・・よ・・・」

レイラ:「なんでお姉ちゃんがそいつを守るのよ!」

チェルシー:「なんで・・・・かな、アナタを止めようと思ったら
・・・身体が勝手に・・・」

レイラ:「お姉ちゃん、どいて!今からでもそいつを――」

チェルシー:「(遮る様に)駄目!これ以上はもう・・・だめ・・・、
もう・・・終わりにしよう、ね?」

血を流しながら妹にハグをし動きを止める

チェルシー:「全部、知ってた・・・レイラがやってること・・・全部・・・」

レイラ:「お姉ちゃん・・・?」

チェルシー:「これ以上・・・レイラの手が汚れない様に、
・・・お姉ちゃん・・・手伝ったの・・・
でも、失敗しちゃった・・・駄目なお姉ちゃんで・・・ごめん・・・ね」

レイラ:「そんな・・・・そんな事・・・!」

チェルシー:「アナタが彼氏の話、してる時の顔・・・・、
すっごく、幸せそうだったのよ・・・だから・・・もう、許してあげよ・・・?」

レイラ:「お姉ちゃん・・・」

ナタから手を離すと音だけが虚しく響き渡る

チェルシー:「レイラ・・・、アタシのレイラ・・・
幸せに、な・・・って・・・(段々掠れていく)」

妹の頬に触れ少し笑うと、息を引き取るチェルシー

レイラ:「お姉ちゃん・・・!お姉ちゃん・・・。
うっ・・・うぅ・・・うあぁぁぁ・・・(泣く)」



ジェイク:M「姉のチェルシーが息を引き取った事で、妹のレイラは罪をすべて認め、
すんなりと逮捕の方向へと向かった。
こうして、レイクシティに起きた赤ずきん事件は幕を閉じる事になった。
それから数ヶ月後・・・・」

-レイクシティ/とある墓地-

ロイド:「なんだか報われないな」

ジェイク:「そう言ってやんなよ。
あの子が来れない分、俺達がこうやって来てるだけでも少しはましだろ」

ロイド:「そうだといいが」

墓に花を添えるジェイク

ジェイク:「お前までしおらしくなるなよ。しおらしくなるのは俺だけでいい」

ロイド:「って言われてもな、目の前であんなの見ちまったらな・・・」

ジェイク:「なぁ~にぃ?ロイドくんはあぁいう場に遭遇するのは初めてかね?」

ロイド:「ぁ?初めてだなんて言ってないだろ!」

ジェイク:「じゃぁ慣れるこったな。それとも、あれか?
あの時俺の事本気で心配くれた余韻とか?」

ロイド:「馬鹿言ってんじゃないよ!」

ジェイク:「ははは(笑う)、良いバディを持てて俺は幸せだよ」

ロイド:「なんだそりゃ!?」

ジェイク:「これからもよろしくな、ロイドくぅ~ん」

ロイド:「だからそのくん呼び辞めろって言ってんだろ!」

ジェイク:「やぁ~だねぇ~」

ロイド:「ジェイク!この事、絶対上に報告するからな!
そしてバディ解消してやるから覚えてろよ!!」

ジェイク:「へぇ~いへい。さっ、気持ち切り替えて次の仕事すんぞ」

ロイド:「ふんっ!しょうがないな、もう少しだけ付き合ってやるよ」

ジェイク:「ありがとよ、ロイド」

ロイド:「あぁ、こちらこそ宜しくしてやるよ、ジェイク」

ジェイク:「素直じゃないなぁ!ロイドくんわぁ~!」

踵を返して墓地を後にして歩いていく二人

-終わり-